SNSで見た動画を参考に3Pシュート向上? 杉浦佑成は優勝を狙う横浜のディファレンスメイカーとなれるか
今季、リーグ初制覇を狙うビーコルは開幕から苦戦が続く。この万能な男の活躍が浮沈の鍵を握る
取材で訪れた10月28日の広島との試合で、杉浦佑成はルーズボールを必死に追い、リバウンドにも積極的に絡むなど、スタッツで現れる数字以上のハッスルぶりを見せ、横浜ビー・コルセアーズの勝利(80-76)に貢献した。
その中で、3Pシュートを打つ機会がなかったのが、こちから見ていて残念だった。杉浦曰く、相手の「クローズアウトも激し」てきたためチャンスがなかったとのことだ。
なぜ残念かと言えば、素早く、軽く打てるようになった彼のシュート力が、今季の横浜BCにおいて武器になるのではないかと感じていたからだ。
シュートに関して何が自分に合ったものにかを模索しながら細かく調整を加えてきたという杉浦だが、最近で言えばあるスキルコーチが「X」(旧ツイッター)でアップしていた動画で紹介していた「ロジック」を参考にしているという。
「体にとって楽に打てるシュートフォームで打とうみたいな話なんです。僕が中学生の時などは(リングに向かって)まっすぐ向いて打って、そのままましたに着地するみたいなのが一般的な指導だったんですけど、最近はちょっと体をひねる動きを利用して打つみたいなのが流行っているらしくて。それもちょっと参考にしながらやっています」(杉浦)
とは言え、専門のコーチから実際に教わっているわけではなく、あくまで動画を見て「独学で」参考にしている程度であるため「いざ試合に成ると自分のいつもの通りの」(杉浦)シュートフォームになってしまうこともあると杉浦は言う。シーズン中には難しいが、オフシーズンになれば本格的に指導を受けてみたいと言う。
島根スサノオマジック在籍の2020-21シーズンには1試合平均で3.2本の3Pを放ち、それ以外の年でも大方、3本前後は打っている。昨季までの6年のキャリアでの成功率は33.1%だが、今はもう少し安定感があるので40%近くは挙げられるはずだ(今季はまだ出場数は少ないが成功率は50%となっている)。
体の強さを生かしたディフェンスでも存在を示す
もっとも、今季の横浜BCにおいて杉浦に求められる役割の幅は広い。上述の広島との試合では相手のトップスコアラーであるドウェイン・エヴァンスを守る場面も多かったが、身長196cmで体の強さをスピードを兼備していることからディフェンス面で相手のエース級とのマッチアップは、今後も頻繁にあるだろう。横浜BCには純然たるインサイドの外国籍選手がジョシュ・スコットとさほど出番の多くない帰化枠のエドワード・モリスしかおらず、リバウンドでは苦戦している。杉浦はここでも貢献が期待される。
インサイド、アウトサイドでの働きを求められる役割の複雑さからか、杉浦は自身のディフェンス面での課題もあり開幕から波に乗れないでいたが、10月21からの琉球ゴールデンキングスとの連戦でコンディション不良により欠場した時間で自身を見つめ直したことで、今は気持ちの整理はついていると穏やかに話した。
「ただやり続ければいいというだけではなくて、どうやったらうまくいくかとか、そういうことを考えられたので、個人的にはすごく有意義な時間になったと思います」(杉浦)
横浜BCの青木勇人ヘッドコーチも、杉浦が「他のメンバーとは違うプレーヤーになっていくんじゃないか」と、チームの重要なピースとなる可能性に言及している。
「3Pの精度、あとはディフェンスで相手の選手に対してフィジカルを生かして嫌がらせることができるような技術ができてくれば、もっともっと、頼もしい存在になってくると期待しています」(青木HC)
チームは開幕2連勝をしながら、その後は2勝5敗と苦戦が続いている。青木HCは攻守においてまだ目指すところの「6割くらい」の出来だとしているから、もちろんここからの上昇は十分考えられる。
杉浦自身も新天地においてまだまだ自身を合わせていく段階にいて「悔しい時やうまくいかない時もある」と話したが、そこにむしろやる気を感じているというから良い精神状態にあると言えるのではないか。