過密日程で苦心する千葉J、ジョン・パトリックHC「この3週間で練習をしたのは2回だけ」
昨季、Bリーグ歴代最高勝率を記録した常勝軍団も東アジアスーパーリーグを戦いながらの2023-24シーズンでは思わぬ苦戦を強いられている
昨季、それぞれリーグ優勝、準優勝を果たした琉球ゴールデンキングスと千葉ジェッツが、Bリーグ代表として東アジアスーパーリーグ(EASL)に参戦している。シーズンを通してのこの国際リーグの開催は初めてとなっているが、これがチームにとって負担となっている様子だ。
千葉ジェッツのジョン・パトリック・ヘッドコーチは、柔和な表情と口調を保ちながらではあったものの、BリーグおよびEASLの関係者には両リーグのスケジューリングについて今後「もうちょっと責任を持って」組んでほしいと口にしている。
EASLには日本、韓国、フィリピン、台湾のチームが参加しているが、この中で国内リーグの試合数が最も多いのがレギュラーシーズンが60試合あるBリーグとなっている。
千葉Jの場合はホーム開催だった10月11日のTNTトロパング・ギガ戦を皮切りにその後、台湾とフィリピンでのアウェイでの試合と、計3試合をこなししている(通算3勝)。EASLの試合は原則、水曜日開催となっており、Bリーグの2チームは土日に日本で連戦を行い、水曜日にEASL、そしてまた土日には連戦に入る。
EASLがアウェイの試合となれば、その過酷さはさらに大きくなる。千葉Jの場合は10月25日の水曜に札幌でレバンガ北海道と、そして同28、29日にはホームでファイティングイーグルス名古屋と、そして11月1日にはマニラでTNTと対戦し、同4、5日にはホームでシーホース三河との試合、といった具合で移動距離なども含めてかなり密なスケジュールとなっている。
4日の三河戦では金近廉が体調不良で欠場し、大ベテラン、アイラ・ブラウンは先発をしながら出場時間はわずか7分強に終わってしまった。いずれの場合も直前のEASLの試合が影響したと思われる。
このような密な日程をこなすなかで、Bリーグの2チームはEASLの試合に向けてのスカウティングや強度の高い想定練習などをほとんどこなせていないようだ。しかし、10月初旬と開幕時期の早いBリーグと比べて他国は数週間から1か月、それが遅く(韓国KBLは10月21日、フィリピンPBAは11月8日、そして台湾P+リーグは11月初旬からの開幕となっている)、それがゆえ、そうした他国リーグのEASLチームは千葉Jや琉球の対策が十全にできるのに対し、日本側はそれがままならないとった状況もあるようだ。
「うちの相手チーム(TNT)はまだシーズンが始まっておらず、今シーズン彼らが行った2試合はいずれも千葉ジェッツに対して。だから彼らは練習して、練習して、千葉ジェッツに対しての作戦だけを考えられて、その中で我々はここまでの4週間で13試合やっていますから…」
上述の4日の試合後、パトリックHCはそのように話し、EASL、Bリーグには参加チームができるだけ公平な条件で戦うことのできる環境にしてほしいと望んだ。
昨季の歴代最高勝率を挙げたチームも恐れるのはケガ
パトリックHCはまた、上述のような過密日程の中では満足のいく「練習はできない」と苦笑いを交えて述べた。
「昨日(11月3日)は何人か練習を休ませて、何人かは本当にリミテッド(時間制限)をしてやりました。この3週間で練習をやったのは多分、2回です。そこはやっぱり、(選手の疲労を)コントロールして、選手のコンディションを考えて…練習といってもウォークスルーとかビデオでのレビューとかシューティングとかいう感じで。そうしないと本当に選手たちはエキゾーステッド(疲労困憊)になってしまいます」(パトリックHC)
昨季は53勝7敗というB1史上最高勝率をマークした千葉Jだが、今季はここまでですでに5敗(6勝)を喫している。今、同チームにとってのもっぱらの敵は疲労とそこから起きかねない重大な故障であるというところではないだろうか。
「今は人数がいないから(二上耀も先述のFE名古屋戦で脳震盪を負い三河との2試合を欠場している)、試合に勝ちたいけど、長いシーズンで本当に気をつけないと、ケガをしてシーズンが終わっちゃいますから…」(パトリックHC)