相手ディフェンダーの狡猾さに封じられた河村勇輝 「それもまたバスケIQの一つ」
自身も得点など平均を下回り、宇都宮ブレックスに手痛い連敗を喫した横浜ビー・コルセアーズのエースは、ここからどう巻き返していくか
横浜ビー・コルセアーズは前節の宇都宮ブレックスとの連戦で、いずれも50点台の得点で終わり、相手から大差をつけられての完敗(1戦目が86−53、2戦目が76−57)を喫した。
横浜BCがそれだけ手痛くやられてしまった要因の一つとしては、エースの河村勇輝が宇都宮のD.J・ニュービルの守りに十全な力を発揮させてもらえなかったことがあげられるのではないか。
12月2日の1戦目で河村は今季最少の10得点。翌3日の2戦目では18得点したが、それでも今季の、20点台半ばの平均からは抑えられている。3Pは2試合合わせて9分の0。自身がコートに立っている時のチームの得失点差「+/-」は1戦目が-17、2戦目が-20だった。
昨季から得点力を大幅に増した河村に対して、これまで相手は彼に得点をされてもいいから他の選手たちを抑える、あるいはその逆、といった守り方をすることが多かった。だが、宇都宮はこの節で、河村の得点もアシストも十全にさせないというディフェンスに成功したと言えるだろう。
1戦目の後、河村もニュービルを「すごい良いディフェンダー」と評価し、自身の一番の売りであるスピードを使わせないようにプレッシャーをかけてきたと振り返っている。
もっとも、ボールを持っている時にニュービルから封じ込まれたかといえば、河村自身にその感覚はなく「自分のプレーのふがいなさのほうが大きかった」とひたすら自身の出来について反省の口調だった。
「(ニュービルは)すばらしいディフェンダーだとは思うんですけど、オンボールですごくやられたという感覚はあんまりないですかね」(河村)
河村がニュービルの彼に対するディフェンスについて「やられた」と感じたのはむしろ、オフボールのところでだった。
「すごくクリーンだったかと言われるとどうかわからないですけど」。河村はニュービルのオフボールでの守り方について、言葉を選びながらそう口にし、続ける。「審判との駆け引きも使いながらというか、うまく、かなり僕にストレスをかけるようなディフェンスをしてきたなと思います。それもまたバスケIQの一つだと思います」。
具体的には、ニュービルはオフボールでかなりフィジカルに体を当ててきたと、河村は振り返った。「審判の駆け引きも使いながら」ということであればおそらくファールなどにならないすれすれの線でニュービルはディフェンスをしていたのだろう。あるいは、ユニフォームを引っ張るなどといった「技術」も使っていたのではないか。
だが、そこに対して河村の言葉に不満めいたトーンは感じられず、自身が今後、こうした狡猾なプレーが当たり前の海外リーグへの挑戦することも見据えつつ、そうしたことを踏まえて自身がどう対応すべきかに頭を向けている様子だった。
昨季の千葉ジェッツと今季の琉球ゴールデンキングスが201cmのヴィック・ローで河村を守らせ成果を得ている。ローと193cmのニュービルではまたタイプは異なるものの、高さと「脚」のあるディフェンダー相手に河村が今後、どう対応していくかは見ものだ。
そして、河村の出来は言うまでもなく横浜BCの出来に直結している。宇都宮に連敗した同軍は現在6勝10敗で中地区の6位に沈み、どう同地区で上位を走る三遠ネオフェニックスや川崎ブレイブサンダースから離されつつある。
「チャンピオンシップに出るということ以上に中地区で優勝しようという目標を掲げ、巻き返しを図らないといけない中で、バイウィーク明けのこの1戦目が本当に大事だと思っていたので、勢いに乗れなかったことは本当に悔しい限りです」(河村)
まだシーズンは約4分の3残っているとはいえ、離された上位チームに追いつくのは容易ではない。まして、昨季より平均得点や同失点を悪くし危機的状況にある横浜BCにとってそれはなおさらだ。