宇都宮ブレックス・ブラスウェルHC、昨ポストシーズンの一回戦敗退は「忘れようがないもの」
©Kaz Nagatsuka
どのようにシーズンを始めるのかではなく、どのようにそれを終えるかというのはプロスポーツにとっての半ば常套のフレーズになっている。
しかし、宇都宮にとってどのように今シーズンを始めるかも小さくない意味を持つ。
それは、開幕の相手が千葉Jだからだ。
2023-24。宇都宮はB1全体で最高となる勝率(51勝9敗)をあげ、第1位シードでチャンピオンシップ(CS)に入った。
3度目のリーグ制覇へ向けての戦いは、しかし、ポストシーズンの最初の週で終りを迎えてしまう。CSクオーターファイナル。ホームの宇都宮は千葉Jに屈する、アップセットを許した。
最終第3戦。試合は2度の延長に突入する接戦となった。ホームの声援を背に戦う宇都宮は有利に思われながら、2度目の延長の最後の2分ほどは千葉Jに差を広げられるという屈辱的な負け方となってしまった。
宇都宮は今シーズン、昨季まで指揮を執った佐々宜央氏(2024-25から琉球ゴールデンキングス・アソシエイトヘッドコーチ)が退任し、45歳のアメリカ人、ケビン・ブラスウェル氏が新HCとなった。
ブラスウェル氏は昨シーズン、宇都宮にアソシエイトコーチとして加入した。CSでの敗退を味わった1人だということになる。
この夏。ブラスウェル氏が自身の体制下でのチームの始動時に、まっさきに行ったことが、ポストシーズン敗退の屈辱を再度、思い起こさせることだった。
「外国籍選手たちが来日する前の週にスタッフらに対してもそうしたのですが、選手たちが揃って最初のチーム練習を行った時に私がしたのは、(クオーターファイナル第3戦の)第4クオーターと最初の延長の最後の2分のビデオを見せることでした」
9月14日の川崎ブレイブサンダースとのプレシーズンゲーム後に、上述のことを問われたブラスウェルHCはそう話し始めた。
「ビデオを見せ、選手たちを体育館へ送りだしました。最初の練習から彼らはそのことを頭に置いていたということんあります。そして良くないプレーなどがあったりした時、私は彼らにそのことを忘れないように話してきました。
最初の試合、千葉はすばらしい戦いぶりでしたが、2試合目はわれわれが勝つことができました。しかし3試合目、われわれは大半でリードをしていたにもかかわらず、多くのポゼッションで簡単なミスをしてしまいました。細部にこだってやることが私がいつも伝えていることです」
©Kaz Nagatsuka
千葉にお返しをしようじゃないか
今はまだ9月だ。千葉Jに敗れたのは5月の前半。千葉Jにとってはそうではないかもしれないが、宇都宮にとっては「ほんの」数か月前の話でしかない。
「あの時からこの夏までの3か月ほど、われわれにとってあのことは忘れようがないものでした。シーズン開幕週の相手は千葉です。ですので、われわれの頭にあるのはその節で千葉にお返しをしようじゃないかということです」
もちろん、プレーオフでの敗戦の悔しさをレギュラーシーズンの試合で晴らしきれるはずもない。ブラスウェルHCも無論、そう思っているに違いない。
だが一方で、千葉Jは同じ東地区の宿敵であり、さらに同軍は今シーズン、渡邊雄太を加えるなど豪華なロスターを揃え、優勝候補だと目されている。避けて通れない、倒さねばならない相手であることに変わりはない。
千葉Jとの開幕シリーズで先制パンチを相手の腹にめりこませることは、いずれにせよ宇都宮のやろうとしていることだ。