©Kaz Nagatsuka
今夏のパリオリンピックへ向けて、男女5人制バスケットボールの組み合わせ抽選会が3月19日、国際バスケットボール連盟(FIBA)の本拠あるスイスで行われ、日本男子代表はドイツ、フランス、そして7月初頭に行われる世界最終予選(OQT)のラトビア会場の勝者と一緒のグループBに、同女子代表はアメリカ、ドイツ、ベルギーと同組のグループCに入ることが決まった。
世界のレーダーに映るところまで来たワールドカップからさらなる高みへ
得も言われぬ快感というのはこういうことを言うのだろうか。
昨年、沖縄でも開催されたFIBAワールドカップのことだ。この大会で日本は過去最多となる3つもの白星を挙げた。しかも、フィンランドを大逆転を破って世界大会ではヨーロッパ勢を初めて破り、その後のベネズエラとカーボベルデ戦でも激勝を収めた。結果、日本は自力では48年ぶりとなるオリンピック出場を決め、国民の歓喜を呼んだ。
すべての試合を終え、トム・ホーバスヘッドコーチは日本が「世界に向けてどういったことができるチームかを見せられたし、他国のレーダーに映るようにはなったのではないか」と話した。これは、それまで世界大会では歯牙にもかからない存在だった日本があなどれない存在となったという意味を示唆する。
一方で、日本は同ワールドカップでドイツとオーストラリアという世界のトップ10レベルのチームには力負けをした。筆者は同大会直後、ホーバスHCに「日本は世界を驚かせたと言えるか」と聞いたが、彼は首を横に振りながら「『世界を驚かす』というのはドイツやオーストラリアのようなチームに勝つことだ」と、まだ日本がその段階に到達していないとした。
20日。組み合わせ抽選を受けて、ホーバスHCと女子代表の恩塚亨HCは報道陣の取材に応じ、それぞれの思いを語った。
ホーバスHCは、昨日、彼は同オリンピックでの日本の目標を決勝トーナメントに進出すること定め、それを公にしている。それを叶えるということは、予選ラウンドでドイツやフランスを破ることを意味するから、その時点で必然的に「世界を驚かせる」ことになるのだ。
「(決勝トーナメントに進むには)1勝か2勝かわからないですが、どこかを相手にShock the world(世界を驚かせる)したいですね。このチームにはできると思いますよ」
紆余曲折からの成長を見せる
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他方、恩塚HC。2月のオリンピック世界最終予選では薄氷の思いでパリへの切符を手にした。2022年のオーストラリアでのワールドカップでの惨敗などの紆余曲折があり、自身の指導法や選手選考でも苦心をしてきた。
ホーバスHCは2021年東京オリンピックで女子代表を率いて銀メダルを獲得するなど豊富な経験を兼備していることもあって、この日も口調は穏やかだったが、前回大会ではアシスタントコーチだった恩塚氏の方は、口調も表情もホーバス氏よりも高ぶっている様子がうかがえた(「自分たちのコントロールできることではない」と日本時間午前3時からの抽選の時には寝ていたというホーバス氏とは対象的に、恩塚氏は生視聴し、興奮からその後眠りに戻れなかったという)。
抽選結果をうけてどう感じたかと問われた恩塚HCは、こう口を開いた。
「まず感じたのは『来たな』という思いで、楽しみを一番多く感じました。東京オリンピックで戦って得た課題を回収すべく3年間、強化をしてきたので、それをもって成長したチームでしっかり戦いたいと思っています」
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日本男子代表(現在世界ランキング26位)の相手となるドイツ(同3位)は昨年のワールドカップで初優勝を遂げている。地元で戦うこととなるフランス(同9位)は東京オリンピックで銀メダルを獲得した。いずれもNBA所属選手を多く抱える。OQTの枠は、順当にいけばホームのラトビア(同6位)かブラジル(同12位)か。
男子バスケットボール競技の初日となる7月27日に、日本は、ワールドカップの初戦でも対戦したドイツと再び相まみえる。
世界9位の日本女子は、東京オリンピックで決勝戦を争ったアメリカ(同1位)と同29日の初戦で当たり、その後、ドイツ(同19位)、ベルギー(同6位)と対峙する。