サンロッカーズ渋谷・パヴィチェヴィッチHC、ジェフ・ギブスのテクニカルファールを「大きな誤り」
インサイドで苦戦しアルバルク東京との連戦初戦を落とした指揮官は、43歳のベテランに対し「チームのために」プレーしてほしいと求める
11月3日、アリーナ立川 立飛で行われたアルバルク東京対サンロッカーズ渋谷。最終的に前者が88-64の快勝を収めたが、第1クォーター終盤からの連続14得点で点差を詰めるなど、渋谷にも一定程度の見せ場はあった。
ところがこの追い上げの中、43歳のジェフ・ギブスが自らに対して吹かれたファール判定に何かしらの不平を漏らしたことから、テクニカルファールを宣告されてしまう(これがギブスにとっての4つめのパーソナルファールでもあった)。
これでアルバルクは息を吹き返し、この第2クォーター中盤からハーフタイムまでの間で24-9のランで51-35とリードを広げた。
渋谷はインサイドの要であるジェームズ・マイケル・マカドゥが左肩関節後方関節唇損傷で開幕から不在。先週末の佐賀バルーナーズとの連戦ではジョシュ・ホーキンソンが体調不良によりプレーができず、そしてこのアルバルク戦では、今度はライアン・ケリーが大腿四頭筋挫傷で欠場となるなど、外国出身選手が揃わずインサイドで苦戦を強いられてきた。
それだけに、同チームのルカ・パビチェヴィッチヘッドコーチも「アルバルクに勝つというのは難しい目標」であり、「アルバルクという強いチームとできるだけ高いレベルで戦うことが目標」だと吐露している。
この連続得点で追い上げながら勢いが断ち切られてしまったことについて、パヴィチェヴィッチHCは「大きな場面だった」とし、そうなる要因を作ってしまったギブスのテクニカルファールを「大きな誤りだった」と試合後、振り返っている。
ギブスがファールトラブルに陥らずにコートに残ったとしても、勝敗は変わらなかっただろうが、彼が頭に血が上ってしまってできるだけ相手に食い下がるということすらできなかったことに、パヴィチェヴィッチHCも苦言を呈さずにはいられなかったというところだ。
「(ベンチにギブスが戻ってきた時)私は彼に伝えました。『我々には(ビッグマンは)ジョシュと永吉(佑也)しかいないんだぞ。君がいなければ(セバスチャン・)サイズや(ライアン・)ロシター、(アルトゥーラス・)グダイティス相手に彼らだけでやらねばならないんだぞ』と。あれはスマートではなかったし、チームにとっても良くなかった」(パヴィチェヴィッチHC)
ギブスは第3クォーターの残り6分強でファールアウトしている。
空回りはいつ止まるのだろうか
パヴィチェヴィッチHCはギブスを「43歳という年齢にしては成熟していない」とやや手厳しかったが、一方で「私もかつては選手でした。選手はショーツとシューズを履き、試合が始まれば(年齢は関係なく)少年のような気持ちで」プレーするのだと彼が熱くなってしまったこともわからないではない、といった具合で擁護もしている。
「彼も今は(チームのために自身が必要だということを)理解してくれていると思うが、あの場面では自身のためにも、そしてチームのためにもああいったことをすべきではなかった」(パヴィチェヴィッチHC)
今シーズン、長崎ヴェルカのサポートコーチとしてすたーとしたギブスは10月20日、マカドゥ不在の穴を埋める要員として渋谷と契約した。
身長188cmながら自身よりも遥かに大きな選手たちとのマッチアップで伍し、特異な存在として長年、日本のトップリーグで活躍してきたギブスだが、さしもの彼も年齢による衰えは隠せない。
うまくプレーできない苛立ちがこの日のテクニカルファールのような形となって現れてしまっているところも多少はあるかもしれないが、ギブスは若い頃から判定に対しての不満を口にする選手ではあった。
いずれにしても、このことがチームの中でしこりのような形となって残ってしまわないだろうか。
ホーキンソンや田中大貴の獲得、アルバルクのHCとして優勝経験のあるパヴィチェヴィッチ氏の招聘など、大々的に補強を測り注目を集める渋谷だが、ここまで2勝8敗と大きく負け越し、その他、様々な試みが空回りしている印象だ。