東アジアスーパーリーグ(EASL)がマカオの統合型リゾートで試合開催。ファンに「スポーツツーリズム」提供を狙う
12月13日にメラルコ・ボルツ対琉球ゴールデンキングスのゲームが同所の「スタジオ・シティ」で行われる
今季からシーズンを通しての開催となっている東アジアスーパーリーグ(EASL)は12月13日、マカオにある統合型リゾートの「スタジオ・シティ」を舞台に「Clash of the Champions」と銘打ち、メラルコ・ボルツ(フィリピンPBA)対琉球ゴールデンキングス(Bリーグ)の対戦を行う。
同リーグのシーズンは原則、ホーム・アンド・アウェイ方式となっており中立地での開催は例外的なものとなるが、これはEASLがスタジオ・シティを運営するメルコリゾート&エンターテインメントとのスポンサーシップ契約締結によって実現している。
スタジオ・シティはマカオで有名なカジノやリゾートホテルのあつまるコタイ地区にあり、「スタータワー」「セレブリティタワー」という文字通り高層の高級ホテル(スタータワーは『フォーブストラベルガイド』から5つ星の評価を得ている)やカジノ、ショッピングなど様々なアクティビティが楽しめ、一方でテレビや映画の撮影所も備える巨大なエンターテインメントベニューとなっている。
今回の試合はスタジオ・シティ・イベントセンター(最大収容人数約5千人)で行われるが、主催者は訪れるファンにはバスケットボール以外のエンターテインメント等も楽しめる場所だと自負している。
EASLの共同設立者、ヘンリー・ケリンズ氏は昨日のオンライン記者会見で、2017年の同リーグ創設以来(同年から2019年までは「スーパー8」「テリフィック12」の名称でプレシーズントーナメントを行った)、どの参加国からもアクセスがしやすい中立地を探し、求める条件を満たしたのがマカオだったと話した。だが、立地の良さだけでなく、マカオそしてスタジオ・シティが、上記したようなバスケットボールの試合以外の時間も来訪者が充足する体験ができる場所であったことも大きかったようだ。
まだ具体的な話は進んでいないものと推察されるが、ケリンズ氏によればEASLでは大きな旅行会社とパートナーシップを結んでおり、各チームがフランチャイズを置く都市へのアクセスに問題がないようにしていることやマカオだけではなく、同リーグに参戦する各国、各都市においても様々な可能性を探っていくといった旨の発言をしている。
スタジオ・シティ・イベントセンターというバスケットボール興行が開催できる施設を備え、かつアジアにおけるエンターテインメント拠点としての評判の高いマカオという場所が、当面はEASLにとっての中心となっていく可能性は高そうだ。
「マカオにはインフラストラクチャーが整っていますし、渡航も難しくなく、外から来た方々にとっても街は歩きやすく、タクシーも潤沢にあり、スタジオ・シティでは様々な催しで楽しむことができます。マカオは家族で訪れる方々が週末、あるいはその週を過ごすにあたってすばらしい場所ですし、戦略的に今後もわれわれのリーグにとって重要な場所となります」
ケリンズ氏はこう語っている。
今季のEASLでは、日本、韓国、フィリピン、台湾から各2チームずつが参戦し、2つのグループに分かれて行われている。各グループの上位2チームが3月の決勝ラウンドに進出する。同ラウンドの開催地はまだ未発表ながら、ケリンズ氏がスタジオ・シティを「ファイナル・フォーのようなイベントを開く」のに適した場所であると言及していることから、同所での開催となる可能性は高いのではないか。
日本のバスケットボール界で「スポーツツーリズム」はどこまで大きくなるか
「スポーツツーリズム」という言葉が近年、にわかに注目を集めつつある。歴史が長くプロスポーツが成熟した国や都市において新しいコンセプトではないとはいえ、体育館・アリーナが鉄道駅から遠いなどアクセスが悪く、かつ周辺に飲食店などが存在しないところに建っていることも多い日本のバスケットボール界においても、今後、全国で完成していく新アリーナ建設において一つのキーワードだと言える。
アジアにおけるラスベガスとも呼べる、マカオのようなエンターテインメントに振り切った場所は日本にはないものの(大阪の統合型リゾート施設が完成するあかつきにはどうなるかわからないが)、ここからEASLが認知度とブランド価値を高め、このマカオを中心としたスポーツ―リズムが発展していくとしたら、日本のバスケットボール界、スポーツ界においても参考となるところが、あるいは出てくるかもしれない。