©Kaz Nagatsuka
千葉ジェッツの富樫勇樹と原修太が取材者からのリクエストがもっとも多い。その中で、原は西村文男と荒尾岳という2人のベテランの名前を出すことがこれまでに複数回あった。
昨日、フィリピンのセブで行われ千葉が優勝を果たした東アジアスーパーリーグ(EASL)・ファイナルフォーにおいてもそれは例外ではなかった。
「あと、岳さんのディフェンス、本当に取り上げてください。荒尾岳、37歳がああやって体を張ってやっているというのは、僕も勇気をもらっているので、お願いします」
決勝の相手、ソウルSKナイツの中核選手を得意のディフェンスで体を張ったことについて聞かれた原は、自身のパフォーマンスだけにとどまらず、そう語った。
リードするチームが17度も代わる激闘となったSKとの決勝で、荒尾は2本のリバウンドを取ったがいずれもオフェンスリバウンドだった。とりわけ印象に残ったのが第4クォーター、残り約8分のそれで、このリバウンドから富樫がセカンドチャンスでの3Pをねじ込み、千葉ベンチと約50人詰めかけた千葉ファンを興奮させた。
原が言うように、198cmのパワーフォワードの荒尾は相手に体をぶつけるフィジカルなディフェンスでも光った。彼がこの夜吹かれた4度のファールは、勲章となった。
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一方の西村(こちらも37歳だ)は、原が「フライトも長くてちょっとお疲れモードだった」とと話す通りファイナルフォーでは輝くことはなかったものの、千葉のファンならば彼が富樫の後に控える司令塔として時に相手にダメージを与えるプレーをする男であることは知っているはずだ。
「岳さんは本当にいるだけでなんか落ち着く『芳香剤』みたいな感じなんですけど、あの2人(荒尾と西村)とは上下関係なくやっていますし、それが後輩たちにも浸透しています。(試合では)僕とか勇樹が『こうやっていこう』とか言うんですけど、それでも流れが悪くなった時には文男が口を開いてくれるので『裏ボス』みたいな感じじゃないですかね(笑)」
そんな具合に原が茶化しながらベテラン2人のことを語れるのも、彼らがをそれを許す度量を持っているからだろうし、チームの持つ文化なのだろう。
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原が、2人ついての言葉を続ける。
「岳さんも文男も、ベンチからいろんなアドバイスをくれます。岳さんは言葉はおおくないんですけど、体で見せたりとか。アイラ(・ブラウン)の調子が悪かったら、繋ぐっていう言葉が失礼なくらいもう戦力となっていますし、ジョンさん(・パトリックヘッドコーチ)も信頼をしています。
「今日も、一昨日(準決勝のニュータイペイ・キングス戦)もちょっとやられ始めて岳さんが入るとディフェンスの強度が上がったんです。今日(決勝、荒尾は7分16秒の出場)はわからないですけど、準決勝は4、5分の出場でそうやってチームの流れを持っていける。僕も年を重ねても短い時間で仕事ができるようになっていきたいと思います」
富樫、原、金近廉など主役の多い千葉で、彼らがそういう役回りを担うことはほとんどない。年齢による衰えも隠しきれない。それでも、出場すれば短い時間でも仕事をやりとげる。
つなぎ役という言葉は彼らには不適切。2人の37歳は、戦力として今もコートに立つ。