©Kaz Nagatsuka
Bリーグが12月19日、2026年に開幕する新B1「Bリーグプレミア」のライセンス4次審査で、茨城ロボッツと京都ハンナリーズが合格したことが発表した。
1次から3次までの審査で合格した22チームは10月に発表され、最終となる4次審査ではアリーナの要件を満たすのみとなっていた上記の2チームに加え、大阪エヴェッサと秋田ノーザンハピネッツが対象となっていた。
同リーグでは今月26日にも臨時の理事会において「追加の」4次審査を行うこととなっており、後者の2チームにも依然として、参入の可能性は残されている。
秋田の場合は、新県立体育館建設を確定させていたが、資材高騰や労務費の高騰によって、事前に入札参加を表明していた4グループが辞退してしまったことで、窮地に立たされた。
そこで秋田県は入札のやり直しに向けて予定価格を110億円増額(今年7月の公告入札の際の額は254億円だった)する議案を提出した。これを受けて、辞退をしたグループが入札参加の意向を示しているとのことだ。
この増額の件で、17日の県議会の場で同県の佐竹敬久知事が次のような訴えで、県民の理解を求めている。
「ハピネッツがあれだけ頑張って、Bプレミアにもし入らないと多分ね、ハピネッツがなくなるんですよ」
プレミア入りに向けてハピネッツが相当、骨を折ってきたことは想像に難くないし、ファンたちももちろん、同チームのプレミア入りを熱望しているはずである。アリーナの目処も一時は立っていただけに、プレミア入りが果たせないとなると、その落胆は大きなものとなる。
佐竹知事の「ハピネッツがなくなる」は、そうしたチームを支える人々の気持ちを代弁したものだ。プレミア入りができなくともハピネッツが「なくなる」ことはないだろうし、言葉尻を捉えてどうこう言うのは野暮だ。
発言を映像で見たというBリーグの島田慎二チェアマンも、「(プレミアの1つ下の)BリーグONEというカテゴリーを軽んじて、そこへ行ったら生きていけないというようなネガ(ティブ)な発言というよりは、ハピネッツに対する思いの強さや地域に対してここまでやってきた貢献具合への評価が、私も前回(11月末)、行ってきましたが、本当に強い」と、同知事の思いを斟酌した。
ハピネッツのアリーナの件やそれに関連した佐竹知事の発言があったために秋田の例を挙げた。確かに最上位のカテゴリーに参入する・しないでは、大きな違いが生まれるだろう。ただ、それが天と地ほどの差となるのかといえば、どうなのか。
現状、どうしてもBプレミアの話題が多くなっていて、B.ONEのそれについては多くは語られていない。が、地域創生を謳っているリーグとしてはBプレミアだけで全国的にそれが成就できるわけではないというのが、19日の発表会見で島田チェアマンが強調したことだ。
「B.ONEのクラブが輝いてこそ日本バスケット界の底上げや反映につながっていきますし、地方を元気にするということを謳った時に、Bプレミアのクラブが所属しているところだけが盛り上がっていればそれでいいということではない。(中略)リーグとしてはいかにB.ONEを盛り上げていくか、力強くやっていくぞということは、社内的にもクラブにもそういったメッセージを発しています」(島田チェアマン)
新B1は当初、最大18チーム程度となるとされていたが、審査をクリアしたチームが存外、多くなったことで、今回の茨城と京都の合格で計24チームがBプレミア初年度参入を決めている。これを多すぎるという声はしばしば聞こえてくるが、北は北海道から南は沖縄まで、そして全国の全地域をカバーしているという点では、プレミアのチームだけでも「地域創生」ができるという見方もできる。
ただ、バランス的に見ると北海道・東北には現状2チーム(レバンガ北海道、仙台89ERS)しかない、愛知県に3つもチーム(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、シーホース三河、三遠ネオフェニックス)もある、関東に9つもチーム(アルバルク東京、サンロッカーズ渋谷、千葉ジェッツ、アルティーリ千葉、川崎ブレイブサンダース、横浜ビー・コルセアーズ、宇都宮ブレックス、群馬クレインサンダーズ、茨城)、19都道府県にしかチームがないなど、均整が取れているとは言い難い。
となれば、リーグが標榜するようにB.ONEを始めとするプレミア以外のカテゴリーも巻き込んで「地域創生」をすることは、あって然るべきのようにも思える(ただし、プレミアのチーム数が最低24で、B.ONEとその下のB.NEXTの2つだけでも約30チームとなるだけに、全体の数が多く希少性が薄れることをどうするのかという問題はある)。
島田チェアマンは、今回の1次から4次までの審査の遡上に上がったチーム以外にも、「実力値がありちょっと頑張れば」プレミア入りを狙うことが可能だったチームがいたとしているが、「クラブの哲学」「成長戦略の判断」などから、初年度からではなくその後の審査での挑戦を視野に入れるという総合的かつ現実的な見極めをしたところもあると話した。
B.ONEは現状の建付けでいえばB2の立ち位置にあるが、最上位カテゴリーのプレミア入りへ向けて各チームがどのような経営的、競技的成長戦略を敷いていくのかにも興味が湧いてくるし、リーグがプレミア以外のカテゴリーの盛り上げという難題をどのように促していくのかも気になるところだ。