カイ・ソットの加入は横浜ビー・コルセアーズに上昇の可能性を与えるか
ディフェンスでは「リムプロテクター」として、オフェンスではアリーウープによる得点など、これまで苦しむチームに欠けていたものをもたらすかもしれない
はたしては男は、苦戦が続く横浜ビー・コルセアーズにとっての"ディファレンスメーカー"となるか。
昨日、広島ドラゴンフライズからの期限付き移籍で加入したカイ・ソットのことだ。220cmの長身選手は12月30日、ホームで行われたシーホース三河との試合でデビューを果たし、13分ほどの出場時間ながら攻守で光るものを披露しながら73-72の勝利に寄与した。
この試合でのソットのスタッツは4得点、4リバウンドと特段目立ったものとはならなかったが、ディフェンスでは3ブロックを記録し、オフェンスでは河村勇輝からのアリーウープパスからレイアップを決めるなど、高さを生かしたプレーで観客を沸かせた。
広島では河田チリジが日本人へ帰化をしたこともあり、今シーズンでは1試合も出場をしていないソット。最後に公式な試合に出場したのはフィリピン代表として参加した今夏のFIBAワールドカップで、ソットも自らのパフォーマンスについてさびついていて、ディフェンスでもベストなプレーができたわけではなかったと語るなど、課題を口にした。
また、横浜BCには合流をしたばかりでまだ十全な練習ができていなかったため、試合を見ていてもポジション取りなどでチームメートと合わない場面が目立った。
しかし今後、彼の持つ長身と能力がさらにチームにはまれば、横浜BCの上昇の可能性が見えてくるかもしれない。
オフェンスでは上述したようなアリーウープパスが毎試合、2、3本は見られるのではないか。また、青木勇人ヘッドコーチはソットの、スクリーンをかけてから中に切れ込むロールのスピードの速さも強調しており、「上」はアリーウープ、「下」はピック・アンド・ロールからと、ガード陣にとっての得点パターンの選択肢が増えることを期待する。
ソットの加入を語る際の、エース司令塔の河村の声のトーンも明るく「彼とはすごく相性が良く、ロールのタイミングや嗅覚みたいなのがすごく似ている部分がある」と話した。
「今日は彼をどう活かそうかということでロブパスやアリーウープパスを何本かチャレンジしてみました。ターンオーバーになってしまったのが2回くらいありましたが、新しいオプションとして、ジョシュ・スコット選手だけでなく、ピック・アンド・ロールの部分で彼とのホットラインを作ることができれば新たな武器になるんじゃないかと思っているので、すごく楽しみです」(河村)
ディフェンス面でもリングを守る「リムプロテクター」とリバウンダーとしての役割が望まれる。青木HCはソットがリング近くに「そびえ立つ」ことで他の選手たちがアグレッシブにディフェンスができる効果を期待しており、そこは30日の試合で三河を後半27得点に抑えた要因の一つとして挙げた。
「今日の後半はアグレッシブにプレーできていた部分もあったと思います。そういう意味では5人でボールを守っている意識がさらに高まるんじゃないかと感じています。ピック・アンド・ロールに対してもアグレッシブに行って相手をしっかり追いやって、追いやって、そこにカイ・ソットが待っていたら相手のハンドラーとしては厄介だと思います」(青木HC)
ソットも自身の高さを生かしたプレーを心がけていくと話したが、攻守ではまずはディフェンスでリングを、ペイント内を守るところから始まると話した。
「ショットブロッカーとして、そして『リングの上で』プレーできる者として、このチームに欠けていた『ピース』になれたらと思っているよ」(ソット)
苦しい横浜BCにとっての「一服の清涼剤」
横浜BCは現在、11勝14敗を苦しみ、前節のアウェイでの佐賀バルーナーズ戦では2戦連続で大差をつけられての敗戦を喫した。
そのような状況では当然、チームの空気は下がってしまうものだが、河村はチームにもたらす新たな可能性のあるソットの加入は、戦術的な部分のみならず精神的にもいわば「一服の清涼剤」となっていると口にした。
「この1週間の練習中、カイ・ソット選手が入ってきて新たなオプションのための練習みたいな、また違う雰囲気が出てきたのが本当に良かったんじゃないかなと思うので、このタイミングでの彼のチーム合流というのは戦力的だけではないところの良さはあったんじゃないかなと思います」(河村)