宇都宮・遠藤祐亮が迷いを拭い去り「まずはシュート」の気持ちを取り戻す
昨シーズンまでとは違ってベンチからの起用が続き苦悩の多かったベテランシューターが先発ラインナップに復帰し、本来の力量を示している
遠藤祐亮が「らしさ」を取り戻している。その背景に何があったのか。
昨シーズンまで宇都宮ブレックスの先発の1人として不動の位置にあった遠藤だが、D.Jニュービル等の加入の影響で2023-24は開幕からベンチからの出場で、本来の力量を発揮できないでいた。
しかし遠藤は、先発PGの鵤誠司が体調不良で欠場したことで12月9日の川崎ブレイブサンダースとのシリーズから先発復帰し、16日の京都ハンナリーズ戦まで3試合連続で2ケタ得点(平均14.3点)を記録している(13日の天皇杯・名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦でも2ケタ得点だった)。
得意の3Pも、この3試合で46.2%の高確率で決めている。16日の試合では9本中5本の3Pを沈め、シーズンハイの17得点をマークした。
開幕からの控えというポジションからコートに立つことでリズムがつかめず、またニュービルや比江島慎らが得点の中心にある中で、自身が攻めていいものか、躊躇が遠藤にはあったという。今の彼のプレーぶりは、いかにも気持ちよくシュートを打っているという具合に見えるが、それは端的にその躊躇が消え去ったからだ。
「ちょっとした一瞬の迷いとか『自分がここで打つよりかは』というのがあったんですけど、それが抜けてからはまず最初にシュートっていうマインドになれていて、それが今、いい方向に向いているんじゃないかと思います。そこからのセカンドチャンスとかも生まれるし、打ってくれとはチームメートからもすごく言われるので、迷わず打ち続けて、入らなくても、1本も入らなくても打ち続けられればいいなと思っています」(遠藤)
鵤の欠場という「怪我の功名」と言っては失礼かもしれないが、遠藤の先発復帰はそれがなければありえなかっただろう。
宇都宮の佐々宜央ヘッドコーチは開幕当初は、ニュービルにPGを任せようという考えを持っていたという。その場合は、遠藤が先発SGだったということだ。だが、ニュービルのスコアラーとしての「質が高い」(同HC)がために、鵤を先発司令塔とし、遠藤をベンチからの起用としてきたのだ。
そうした状況が続いてきた中での、鵤の体調不良だったが、この頃にはニュービルにPG的な役割を任せても良いという判断もあり「エナジーマックスで、ポジティブに持っていける」のも彼しかいないと、遠藤に先発を任せた。
「最初、外した時は多分、落ち込んでいましたし、苦しかったと思います。もう何年もスタートだったので非常に苦しい状況ではありましたけど、僕も結構、彼とも話しながら遠征とかホテルの部屋で2人で話したりとかもしながら、本当に我慢してくれていました」(佐々HC)
佐々HCは今後また鵤が先発ラインナップに復帰することも「あると思う」とはした一方で、遠藤には「しばらくはスタートを預けていきたい」と語った。
「怪我の功名」は宇都宮全体に対しても言えることかもしれない。上記の鵤の件以外でも、13日の天皇杯の試合では、ニュービル、アイザック・フォトゥ、ギャビン・エドワーズを故障等で欠きながら、84-57と名古屋を粉砕している。
こうした状況の中で、遠藤を先発に戻すなど選手起用をし、戦術的にもスペーシングをより広く取って高さの不利を補うべくスペーシングをより広く取り人とボールをより動かす中で得点機をうかがう、今シーズン、同軍が追い求めてきた戦いぶりの練度が高まりつつある。