©Kaz Nagatsuka
昨シーズン、琉球ゴールデンキングスのB1西地区での連覇を6で止めることとなった名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。あけて2024-25、その雲行きは怪しいままだ。
名古屋Dがシーズン前半で苦しんだという点では、昨シーズンも今シーズンも変わらない。シーズン折り返しの30試合を終えた時点での戦績は昨シーズンが17勝13敗で、今シーズンは16勝14敗である。
今シーズンの開幕当初は5人の新加入選手を抱え、それだけにチームのシステムに馴染むまでには時間がかかった。そのうちの1人である今村佳太は怪我により開幕から1か月強が経過してからようやく新天地でのデビューを飾っている。また名古屋Dは、今シーズンはもっとも競争が激しいという見方をされる中地区に配されたことも、苦戦の一因としていいかもしれない。
出遅れはしかたのないところだったが、12月の下旬頃からはようやくチームが本来目指すバスケットボール――速い展開のオフェンスと変幻自在なディフェンス――ができるようになってきた。それまで勝ったり負けたりを繰り返していたチームは、12月14日からオールスターブレークまでの8勝3敗という高い勝率をあげたことがその証左だった。
代々木第二体育館で行われたオールスター前の最後の試合で名古屋Dはアルバルク東京に敗れるも、試合後の同軍、ショーン・デニスヘッドコーチの声に重苦しいものではなかった。敗戦の中で名古屋Dらしさを見せられた時間も少なくなかったからだった。
「三遠(ネオフェニックス、中地区首位)があまりに先を行ってしまっているのでこの地区を制するのは難しいでしょうが」と前置きしつつ、このA東京戦後のデニス氏は言葉を続けた。
「私たちは自分たちのバスケットボールをできるようになってきていますし、連勝を続けていく高い力を持っていると思っています。昨シーズンのように事が運ぶかどうかはわかりませんが、ポテンシャルは確実にあります。今日の敗戦から学びそのポテンシャルを生かせるようになれば、まだまだCSに出場する高い可能性があるという自信があります」
ところが、オールスターがあけてのホーム、ドルフィンズアリーナでの初戦。名古屋Dは第1クォーターを32-19とすばらしい出だしを見せながら、相手の大阪エヴェッサの追随を許し、延長の末に110-109で敗れてしまう。
翌日は102-94で勝利するも、名古屋Dの面々の表情に安堵のそれはあっても喜びを露わにするというところは、心なしかなかったように感じられた。
「昨日も絶対に、自分たちが勝てたゲームだったと思っています」
この試合の勝利後、中東泰斗はそう語った。その表情だは到底、勝利後のそれだとは思われなかった。
勝っても内容が気になる試合もあるし、負けても内容がよかったというのもない――。中東はそう述べつつ、話を続けた。
「やっぱりチームとしてやるべきことをやっているかやっていないか、そこに尽きるかなと思います。自分たちは本当にメンバーも多く変わりましたがもう30試合過ぎてしまっています。正直、昨日の負けは……もう本当に勝たなければいけなかった試合だと思っているので、このままだとCSも危うい立ち位置にいます。もう1試合、1試合、眼の前の試合をしっかり戦って、勝っていかなければいけない、1点でもいいから勝たなきゃいけない。その中で内容をどんどん、良くしていかなきゃいけないとは思います」
しかし、この大阪とのシリーズ後。1月29日の水曜ゲームで、名古屋Dはサンロッカーズ渋谷に対して85-59という完敗を喫した。
前半でそう大きく勝ち越していたわけではなかった昨シーズンの名古屋Dが、ではどうして最後に西地区優勝を飾ることができたかといえば、長い連勝をいくつか記録したからである。オールスターあけの1月21日から3月3日には11連勝をマークし、3月27日から4月13日までの7連勝、そしてレギュラーシーズン最終盤の4月19日から5月6日には6連勝をあげている。
対してオールスターあけから1勝2敗の今シーズンの名古屋Dに、そういった波が来る気配はない。
FIBAブレークまでは残り4試合。名古屋Dはホームで仙台89ERSと、翌週は秋田ノーザンハピネッツとアウェイで、それぞれ2試合ずつを戦う。
今のBリーグで確実に勝ちを計算できる相手などほとんどない。が、大阪戦での中東が口にしたような「勝たなきゃいけなかった」というような試合をしている余地は、ない。