2023-24シーズンB1 MVP選出のD.Jニュービル「過去には自分がいくつかの賞に値すると感じていたが、選手たちから認められるのはすばらしい感慨」
チームの攻守の核として宇都宮ブレックスをB1最高勝率に牽引した
©Kaz Nagatsuka
今シーズン、宇都宮ブレックスをB1最高勝率に導く原動力となったD.J・ニュービルが2023-24の最優秀選手賞(MVP)に選出された。
B1の全ヘッドコーチと選手、メディアによる投票による獲得ポイント数で、ベストファイブが選ばれ、その中の最高得票者のニュービルが同賞を獲得した形だ。
ニュービルが得たポイント数は1182で、2位のペリン・ビュフォード(島根スサノオマジック、2年連続2回目)に785ポイントと397差を、3位で774ポイントだった比江島慎(宇都宮)に408差をつけた。4位は河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ、562ポイント、2年連続2回目)、富樫勇樹(千葉ジェッツ、488ポイント、8年連続8回目)となった。
32歳は今シーズン、大阪エヴェッサから宇都宮ブレックスに移籍。全60試合に出場(先発59試合)し、平均16.3得点(B1 13位)、4.9リバウンド(同47位)、4.7アシスト(同11位)の数字を挙げた。
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「自分の名前が呼ばれた時さ」
いつの時点でMVP受賞を知ったのかを問われたニュービルは、柔和な笑顔でそう答えた。
「(欠席のペリン・ビュフォードを除く9人の候補者の足下に)光が伸びてきて、自分の前で止まって。本当か、と」
193cmのコンボガードであるニュービルは、同じくボールハンドラーとしてプレーのできる比江島との大型バックコーデュオを形成。宇都宮がより多くの起点からの攻撃を展開するのを可能とした。
フィラデルフィア(米ペンシルベニア州)出身のニュービルは、巧みなドリブルワークからのドライブインや高精度の3Pシュートなど多彩な技量を持ち、相手のディフェンスを切り崩した。ニュービルは今シーズン、3Pに比重(1.5倍)をかけて補正したフィールドゴール成功率(eFG%)で58%という高い数字を残している。
ニュービルはまた、優れたディフェンダーとしてもチームに貢献。河村など相手のエースガードを封じ込める卓越した守りにおいても、存在感を示した。
ニュービルは2月、3月と連続で月間MVPを獲得している。
ニュービルは2020−21に来日。前所属の大阪エヴェッサでの3年間でも好成績を収めてきた。が、その間にポストシーズンには1度しか出場していないことや首都圏でプレーしていないことなどで、その実力はどこか相応の評価を得られていないところがあった。
しかし、新天地に移った2023-24は宇都宮の中心としてチームを51勝9敗というB1最高の成績に導き、より眩いスポットライトを浴びた。
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MVPを獲得とその名がリーグ史に刻まれることについて、ニュービルはこのように思いを述べた。
「過去には自分がいくつかの賞に値すると感じていた。だけど、最高の賞とは自分の同僚から与えられるもの。チームメートやその他、リーグの選手たちを相手にすることで受けるリスペクトというのは価値をつけられない。だから賞を受賞できたのはすばらしいが、他の選手たちから認めてもらうというのはもっとすばらしい感慨をもたらしてくれる」
とは言うニュービルだったが、MVPは「正直言って、マコ(比江島)が獲ると思っていた」と自身の手元にその栄誉が巡ってくるとは考えていなかった。
一方、その比江島は「MVPは絶対にニュービルがもらうべきだと思っていた」「彼は本当にMVPに値していますし、チームを引っ張ってくれたので、すごく嬉しいです」と語った。
「(ニュービルは)個で打開もできるし、仲間を信頼してアシストもしてくれますし、何より彼のディフェンスのメンタリティというか、相手のエース級についてしっかり抑えてくれるというところを、チームメートになって改めて知ったので、そういったところも評価に値するのかなと思います」(比江島)
MVP受賞が決まると、アワードショウ会場には宇都宮のアソシエイトコーチを務めるケビン・ブラズウェル氏とチームメートの田臥勇太がニュービルがどのような選手かを語るビデオメッセージが流れた。その中でブラズウェル氏は、チームがチャンピオンシップ(CS)のクオーターファイナルで千葉Jに敗れた後、ニュービルが「自分はもっと良くならなければ」と伝えてきたことを紹介した。
そうした言葉を同氏に伝えた理由を、ニュービルはこのように話した。
「チームが自分を頼りにしてくれていることは理解している。ただ(千葉Jとの)シリーズでは多くの点で自分がやるべきことができなかった。もしできれいれば勝てたかもしれないし、それでも負けていたかもしれない。ただ僕は自分の最高のプレーを出さなければならないと感じている。優勝するのは簡単ではないことは理解しているが、それでも自分が最高のプレーをしなければいけないと思っている」
新人賞は、昨春、東海大学を退学し千葉ジェッツに加入し、日本代表活動にも参加してきた金近廉(千葉J)が、ベストディフェンダーには今季、日本復帰をした馬場雄大(長崎ヴェルカ、初)が受賞した。
また、B2のMVPはブランドン・アシュリー(アルティーリ千葉)が初受賞となった。
そして、長年、日本のトップリーグで活躍し、2023-24シーズン一杯で引退となったニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)と桜井良太(レバンガ北海道)には功労賞が授与された。
その他の主な賞の受賞者は以下の通り:
ベスト6thマン:ケリー・ブラックシアー・ジュニア(広島ドラゴンフライズ、初受賞)
ベストタフショット賞:ベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷、初受賞)
アジア特別賞:サーディ・ラベナ(初受賞)
ココロ、たぎる。賞:富樫(初受賞)
最優秀審判賞:加藤誉樹(8年連続8回目)
ソーシャルメディア最優秀クラブ:千葉J(2年連続4回目)